インフルエンサーマーケティング事業などを展開するBitStarが7月25日、都内でセミナーを開催。イベントには、チャンネル登録数130万人を超える3人組グループ「さんこいち」のメンバーほりえりくと、インフルエンサーの総合商社ケテル代表取締役の丸本貴司氏、BitStarの執行役員である泊大輔氏が登壇した。
さんこいち•ほりえりくが語る「Z世代」に愛されるコンテンツとは?
同セミナーでは、「Z世代」へのマーケティング戦略についての講義が行われた。そもそも「Z世代」とは、デジタルネイティブのパイオニアとも形容される「ミレニアム世代」と違い、大きく嗜好性が異なるのが特徴。出生時からインターネットに親しんでいた1990年代後半から2000年代をセグメントした言葉で、SNSではオンタイムでコミュニケーションを取り、音楽はオンラインで消費する層を指す。
嗜好性が大きく異る「Z世代」に対し、どのようなアプローチで行えば、より効果的にマーケティングできるのか学ぶことができるのか。この日は、「愛されるチャンネル・伸びる動画の作り方」と題された講義のほか、企業とクリエイターのタイアップ、今後のインフルエンサーの活動にまで話が及んだ。
さんこいち結成のきっかけ
まずは、「さんこいち」を結成し、チャンネル登録者数が100万人を超えるまでを追想する形で講義が行われた。「さんこいち」は、ほりえりく、唯一の女性メンバー古川優香、”ジェンダーレス男子”として活動するYapp!(やっぴ)の3人から成るグループで、元々は丸本氏と出会ったことをキッカケにそれぞれ読者モデルとして活動していた。その後、上京を機に、YouTuberとしての活動を始めたのだという。
読者モデル•さんこいちとYouTuber•さんこいちの違い
スタートした当初は伸び悩んでいたそうだが、YouTubeという規格に沿い、なおかつ人の意欲になるようなコンテンツへとシフトしたところ、再生数、登録者数が共に伸び始めたのだそう。丸本氏は「ツイッターとかインスタって短い情報の尺の情報を得るのが好きな人。YouTubeは少なくとも3分は動画があるんで、そこを消費するのに慣れていない人達が多い。最初は見るけどすぐに離れてしまう」と要因を分析している。
良いタイアップは「視聴者に合ったコンテンツ」を出すこと
企業案件はクライアントの「言われた通りにやる」ことで失敗
順調に登録者数を増やしてきた「さんこいち」だが、企業から依頼されて動画を制作する、いわゆるタイアップと呼ばれる案件は大変だったとも口にし「自分たちはこういうふうに撮りたいのに、『商品をもっと出してくれ』と指示をいただくこともありました。言われた通りにやってみたんですけど結局、視聴者からバッシングを受けて、PRにもならないのに僕たちだけお金をもらってしまいました」と回顧。
丸本氏曰く「それまでゲームをやったことがなかったんですけど、(企業から)言われるがままにやってしまいました。YouTubeではサムネが一番大事で、それで再生回数が変わることもあるんですけど、そのサムネにゲームの画面を入れてくれって言われて…。それまで平均で30万回ぐらい回ってたんですけど、そのゲームの動画だけ5万回ぐらいしか伸びなかった」と振り返った。
「視聴者に届く方法で伝えなければ良いPRにならない」
その動画は現在でも「さんこいち」のチャンネルに残っているそうだが、数ある投稿の中でも再生数はワースト1位。この経験から丸本氏は「企業の方とYouTuberの方が一緒に登っていかないと駄目」と独自の理論を展開すると、ほりえりくも「合ったコンテンツを出さなければ、良い情報にはならない」と警鐘を鳴らす。
こうしたクリエイターと企業側の事故の多くは、発注するクライアント側が、再生数や登録者数だけでタイアップの依頼先を判断をしていることにも起因しているそうだ。
良いタイアップにするには
では、事故を未然に防ぐためにはどうしたら良いのか。来場した参加者から質問が寄せられるとほりえりくは、動画のタイトル・サムネイルはクリエイター側に任せていただきたいと返答。また、撮影場所の確保や企画に使用するお菓子を大量に用意してもらうことで、タイアップに対し前向きに検討しやすいという。
従来のように、プロモーション側が動画の方向性を指し示すよりも、クリエイター側が考案し自身の感性活かすことによって、動画本来の面白さを引き出し、ひいてはプロモーション効果にも繋がるということだ。
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